ナチュマルワインストアの福島です。
先日、北海道ワインのセミナーおよび商談会に参加してきました。 そこで目の当たりにしたのは、北海道ワインが今、大きな転換点を迎えているという事実でした。
今回のレポートでは、現地で語られた2025年の技術的なヴィンテージ情報と、今後の北海道ワインの展望について綴ります。

1. 「希少な観光資源」からの脱却
これまで、北海道ワインといえば「希少性」の代名詞でした。 本州ではなかなか手に入らず、雄大な大地と美味しい食事を求めて北海道を訪れ、現地で楽しむことが「最高の贅沢」とされてきました。造り手の皆さんも、「生産地に来て、風土を感じながら飲んでほしい」と口を揃えます。
その魅力は変わりませんが、状況は少し変わりつつあります。
2. 一大産地「北海道ワイン」の向かう先は
現在、北海道のワイナリー数は75箇所にまで急増しました。 自動車部品メーカーの「ダイナックス(千歳)」や、家具大手の「ニトリ(余市)」など、異業種からの参入も相次ぎ、生産能力は格段に上がっています。
そこで浮上したのが「販路拡大」という課題です。 これまでは「足りない」ことが常でしたが、これからは増産されたワインを、いかに北海道から飛び出させ、日本全国の食卓へ届けるか。 今回の展示会からは、北海道ワインを「日常の選択肢」として定着させたいという、強い熱気と期待を感じました。

3. 2025年ヴィンテージのリアル:酸と鳥と、知恵比べ
生産量が増える一方で、自然相手の厳しさは変わりません。セミナーでは、2025年の具体的な栽培・醸造の課題も共有されました。
- 「酸」を確保するためのブレンド技術: 温暖化の影響で、一部エリアでは酸の確保が難しくなっています。完熟を待つだけではなく、「あえて未熟な状態で収穫した酸の強い果汁を、完熟果のワインにブレンドする」という、高度なアッサンブラージュ(調合)が必要になっています。かつての「冷涼な酸」は、今や技術で「守り、創る酸」へと進化しています。
- 白は豊作、黒は鳥害: 白ブドウ(シャルドネ等)は過去最高の豊作でしたが、黒ブドウ(ピノ・ノワール等)は鳥害に悩まされました。鳥が色づいた黒ブドウを狙うため、防鳥ネットが必須となるなど、現場の苦労が伺えます。
- 土地の個性を活かす試み: 十勝エリアの「温泉水を活用した栽培(十勝川温泉周辺)」や、北海道らしい地名を前面に出したブランディングなど、独自性を打ち出す動きも活発です。
4. まとめ 北海道ワインを、もっと身近に
「上歌(かみうた)」地区のような新しい産地や、道東独自の「山幸・清舞」といった固有品種の定着。 北海道ワインは今、観光客を待つだけでなく、自ら全国へ打って出る準備を整えています。
ナチュマルワインストアとしても、この「北海道ワイン」をしっかりと皆様にお届けしていきたいと思います。生産量が増え、より身近になるこれからの北海道ワインに、どうぞご期待ください。


